速さと比 ─ 「同じ道のりなら時間は逆比」で計算が消える
難関校の速さの問題は、まともに計算すると分数だらけになります。合格する子は、そこを比で処理しています。
速さと比の関係は2つだけです。ここを理解しているかで、解答時間が何倍も変わります。
2つの関係
1. 道のりが同じなら、速さと時間は逆比
A は分速 60m、B は分速 90m で、同じ道のりを歩きます。
速さの比は 60 : 90 = 2 : 3。このとき、かかる時間の比は 3 : 2 になります。ひっくり返ります。
理由は単純で、速いほど時間は短くなるからです。3倍速く進めば、時間は3分の1で済みます。
2. 時間が同じなら、道のりと速さは比例
A と B が同じ時間だけ歩きます。
速さの比が 2 : 3 なら、進む道のりの比も 2 : 3。こちらはひっくり返りません。
何が同じかを先に決める
使い分けの判断はここだけです。
| 問題文で同じもの | 比の関係 |
|---|---|
| 道のりが同じ | 速さと時間が逆比 |
| 時間が同じ | 速さと道のりが正比例 |
| 速さが同じ | 時間と道のりが正比例 |
「何が同じか」を問題文から先に見つけてください。 それが決まれば、残り2つの関係が自動的に決まります。
計算が消える例
家から駅まで、行きは分速 60m、帰りは分速 90m で歩いたところ、往復で 25 分かかりました。家から駅までは何 m ですか。
比を使わない解き方は、道のりを □ として □÷60 + □÷90 = 25 を解くことになり、小学生にはつらい式です。
比を使う解き方はこうなります。行きと帰りは同じ道のりなので、時間は速さの逆比です。
速さの比 60 : 90 = 2 : 3
時間の比 = 3 : 2
往復 25 分を 3 : 2 に分ければ、
行き 25 × 3/5 = 15分
帰り 25 × 2/5 = 10分
あとはどちらかで道のりを出すだけです。
60 × 15 = 900m
割り算も分数も出てきませんでした。 これが比を使う最大の利点です。
子どもに教えるときのコツ
「何が同じ?」を口ぐせにしてください。 道のりが同じなのか、時間が同じなのか。これを毎回声に出させると、逆比か正比例かで迷わなくなります。
逆比を暗記させないでください。 「速いほうが時間は短い」という当たり前の感覚から毎回導かせます。暗記した子は、正比例の場面でも逆比にしてしまいます。
比の数字に単位をつけさせないでください。 3 : 2 の 3 は「3分」ではありません。ここを混同すると、あとで実際の数値に直すときに崩れます。「比はまだ数字が決まっていない状態」という感覚を持たせてください。
難関校ではこう使われます
速さが変わる場面
途中から速さを 1.5 倍にしたので、予定より 10 分早く着いた。
速さが 1 : 1.5 = 2 : 3 なら時間は 3 : 2。差の 1 が 10 分にあたる、と分かります。差に注目するのが定石です。
出会いと追いこし
A と B が向かい合って進み、出会うまでに A は 600m、B は 900m 進んだ。
同じ時間進んでいるので、道のりの比=速さの比。600 : 900 = 2 : 3 がそのまま速さの比になります。
旅人算との組み合わせ
旅人算やダイヤグラムと組み合わされるのが、難関校の標準的な出題です。グラフの交点から比を読み取る、という二段構えになります。
よくあるつまずき
逆比にする場面としない場面を取り違える。 圧倒的に多い間違いです。「何が同じか」の確認を飛ばすと、ほぼ必ずここで落とします。
比の何倍が実際の数値かを見失う。 3 : 2 と出したあと、「この 1 が何分にあたるか」を必ず書き留める習慣をつけてください。
3人以上の比をそろえられない。 A:B と B:C が別々に出たとき、B をそろえて A:B:C にする連比の操作が必要です。ここは比の単元として別途練習が要ります。
読んだら、実際に解いてみよう
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